デ・ブランディング(脱ブランディング)を考えてみる

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最近アメリカではデ・ブランディング(debranding)=脱ブランディングを取り入れる企業があるという記事を読んだので、それについて少し考えてみたいと思います。

デ・ブランディングの例

デ・ブランディングの例としては、NIKEやスターバックスがブランドシンボルだけを表示し、意図的にロゴタイプを隠すことがそれにあたるのだそうです。他の例としては、マスターカードや少し前だとアップルもそのようなリニューアルを行いましたし、たばこブランドのマルボロも新しいパッケージではロゴタイプをエンボスのみで表現し、三角の形状を強調したシンプルなデザインに変わりました(2017年6月現在)。

デ・ブランディングの目的

デ・ブランディングの目的は、従来のコーポレート色を払拭しユーザーにブランドをより身近に感じてもらう事により、ユーザーの日常への浸透を図る事にあります。ネットやデジタル技術によって情報が膨大化し、商品やサービスのサイクルが加速化する中であらゆる選択肢にさらされているユーザーに対しては、たとえブランド力のある大企業と言えど大上段に構えているだけでは不十分ということなのでしょう。一方、デザイン的に見れば、過剰な表現を抑制することでユーザーは本来の価値にフォーカスしやすくなります。デ・ブランディングはすでに大きなブランド力を持ち、ブランドシンボルが浸透している大企業だからこそ効果のある施策ともいえますが、デ・ブランディングが有効である事は、本当に価値のある商品・サービスであれば、ユーザーはブランドに関係なく支持する傾向も示唆しています。

デ・ブランディングの先駆けとしての無印良品

ところで脱ブランディング、と言って個人的に思い出すのは無印良品です。周知の通り無印良品はもともと西友のPBとして「ノーブランド」をコンセプトにスタートし、その後消費者の支持を得ていまでは無印良品というブランドとして成長しました。無印良品の戦略は、ブランド色を押し出すのではなく、あくまで商品自体の価値を際だたせ、ユーザーへの日常へ浸透していく事でブランド化するというもので、まさにデ・ブランディングの先駆けとも言えます。それゆえブランド色を強く出さないやり方は、日用品や食品において特に有効だといえそうです。

ディーンアンドデルーカと久世福商店に見るブランド戦略

食品小売で最近、同様の手法で成功しているブランドと言えば、ディーン&デルーカや久世福商店が思い浮かびます。どちらも店頭や商品のパッケージ、ショッパーではブランドロゴはきっちり冠して訴求していますが、デザインにおいては至ってシンプルで、商品のパッケージを見ると、ラベルなどの面積を抑えデザインをおとなしめにして商品自体が際立つようなデザインとしています。それは過剰な装飾やブランドカラーの露出を抑えたインテリアデザインにも見て取れます。ただし、無印良品との違いは、どちらのブランドも「食のセレクトショップ」を標榜しているように、「日常+α」を中心的価値に置いているという点でしょう。

デ・ブランディングはより巧妙なブランド戦略

ディーン&デルーカや久世福商店はスーパーやコンビニ以上、高級ブランド未満の「少し贅沢な日常」を楽しむためのライフスタイル提案ブランドと言えます。それゆえ、ブランドの表現はシンプルではありながら品質感はそこなわないよう、商品パッケージや店舗、各種媒体は実に注意深くデザインされています。こうしてみるとデ・ブランディングはブランディングをしないということではなく、ユーザーに寄り添うように今まで以上に巧妙にブランディングを行う手法であると言えそうです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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