ブランドパーソナリティを考えてみよう
ブランドパーソナリティとは
ブランディングの考え方のひとつに、ブランドパーソナリティというものがあります。パーソナリティとは直訳すると人格であり、人にはそれぞれ人格があるように、ブランドにもさまざまな特徴や個性があるというわけです。そのブランドらしさといっても良いでしょう。ブランドパーソナリティを探ることは、現状の市場でのブランドの認知のされ方を把握するために役立ちます。ブランドパーソナリティは社内のインタビューや、外部のアンケートなどをもとにつくります。たとえば、そのブランドらしさを「先進的な」「まじめな」「フレンドリーな」「上品な」といった人をあらわすような短い言葉で表現します。このときに自分たちはこうだと思っていたり、こうありたいとと思っている姿と、第三者からの認知のされ方に乖離があれば、そのブランドらしさがうまく伝わっていないということになります。
ブランドパーソナリティを見直すタイミング
多くの、特に中小企業では、ブランドパーソナリティは、会社の歴史の中で結果的に出来上がった暗黙知のようになっています。さらに中小企業の場合、創業者や社長のパーソナリティが色濃くされているケースも少なくありません。それがうまく市場とマッチしているうちは良いのですが、時代の変化によって古くさくなったり、陳腐化したりもします。たとえば「職人気質」のようなパーソナリティは、今の時代、たんに古くさいイメージしか持たれないこともあります。ブランドパーソナリティを見直すタイミングとしては、事業承継時や、リブランディングをする時がやりやすいかもしれません。前述のように社長のパーソナリティがブランドらしさを作っているようなケースでは創業者や社長が一線を退くと、その会社らしさが弱まり、ブランドの方向性を見失うこともあります。そのときにブランドパーソナリティをもう一度見直し、自分たちのあるべき姿を確認することは、新たな方向性を決める上で役に立ちます。
ブランドパーソナリティとブランドの表現
以前私が担当したクライアントさんのお仕事で、数十年前の創業時に切り絵アーティストに作ってもらったロゴタイプを主力商品使っているケースがありました。たしかにその作家しか作れない素朴でレトロな味わいがあり、ブランドならではの個性にもなっていました。これは表現がブランドパーソナリティになっていると言っても良いでしょう。ただ、そのブランドの商品は比較的高価格で、お客様もどちらかというと経済的ゆとりのある方が多かったため、商品が多様化した現在の市場では品質感に少し欠けると感じました。そこで、パッケージデザインでは、そのロゴタイプをそのまま使いながら構成や間のとり方、色使いで品質感を出す提案をしたことがあります。このように、良いものは活かしつつ顧客や時代にあわせリデザインすることも、ブランディングでは有効です。そのために、自分たちのパーソナリティを「言葉」で表現し、把握することが必要なのです。
新たにブランドパーソナリティを作るコツ
新たにブランドを作るときもブランドパーソナリティの考え方は有効です。新しいブランドの場合、新たにパーソナリティを作ることになりますので、ブランドのどんな側面をユーザー伝え、どんなふうに見てもらいたいかを考える必要があります。いわばひとつの人格をつくるようなものです。当然ビジネスですから、その人格は人を引きつけるものでなければなりませんし、人と同じようにいくら魅力があっても中身が伴わなければ、長く受け入れらることはないでしょう。
ブランドパーソナリティは、商品開発やデザイン、コミュニケーションの施策を考える上での指標とすることで、そのブランドらしさからブレることを防ぐことができます。迷ったら常に立ち返り、自分たちや商品のあるべき姿を意識して「襟を正す」ことで強いブランドをつくりましょう。
本日はここまでとさせていただきます。お読みいただきありがとうございました。