ブランドになるということ

ブランドになるということ

前回、ブランドとは結果的に「なる」ものではないかということを書きました。事実、誰でも知っている世の中の多くのブランド、たとえばトヨタや任天堂やユニクロなどは、はじめからブランドになることを目指して創業したわけではありません。長い時間を企業努力をし会社を成長させていった結果、人々に認知されブランドとなった会社がほとんどです。

ではなぜ、ブランドをつくるという考え方がでてくるのか。簡単に言えば、このブランドをつくる= ブランディング という考え方が比較的新しいものだからです。現在ではブランディングの手法が認知され、前述のような大企業でも、会社にとって重要な新事業や新商品を立ち上げるときはほとんどブランディングを行っています。また比較的規模の小さなスタートアップ企業なども創業時からブランディングを念頭に入れるケースが増えています。つまりはじめから「 ブランドになる 」ことを目指して事業や商品開発を行うのです。

またすでにブランドになっている企業でも、ブランドの継続的な運用や強化、リブランディングを行っています。常に変わっていく社会や市場にあわせ、すでにあるブランドをアップデートしたり、時には大胆にイメージを変更して
ブランドイメージやブランド価値を保ち続けているのです。私はブランドコンサルティングの会社に在籍していたときは、主に上記のような企業のブランディングを担当しておりました。

では、ブランドになるということはどういうことでしょうか。一言で言いますと、世の中で一定の方向性をもったポジティブなイメージで認知される事となります。ブランディング の世界ではよく、ブランドは人々の頭の中にあると言う事があります。高級車といえばレクサス、おしゃれなカフェと言えばスタバ、安くて機能性が高い服といえばユニクロ、というようにブランド化に成功した企業の多くは○○といえば○○と思い出すことができる存在になっています。もちろんこれらのブランドは規模も大きく露出も高いからそうだともいえますが、規模が小さくてもそのようなブランドは多数存在します。

自分たちのファンを作る

例えば私は、銀座にあるヒガシヤという喫茶店が好きです。このお店は系列を合わせても都内に3店舗しかありません。けれどもおしゃれな喫茶店といえば僕はそのお店を思い浮かべます。店舗の雰囲気も良く、商品もとてもデザイン性が高いためギフトなどにも重宝しています。はじめは中目黒の一軒家のカフェのみでしたが、その後銀座に移転し、お菓子やうつわの通販をはじめたり、オープン以来十数年確実にファンを増やしています。また、私がお仕事をさせていただいたある地方のコーヒー店も、創業以来一定のファンの心を掴み続けています。

みなさんにも、広くは知られていないけれど、お気に入りのお店や商品などはきっとあるはずです。つまり、「 ブランドになる 」ということは、「 ファンをつくること 」とも言えるのです。ちなみにマーケティングやブランディングの世界ではそうしたファンをロイヤリティユーザーと呼びます。

ブランド化の3つのメリット

ではファンをつくり、ブランド化するとどのようないいことがあるのか。ブランド化のメリットは大きく3つあります。

1 お客様の購買の意思決定が早くなる
お客さんに○○といえば○○と思い出してもらえるようになれば、競合はお客様の頭のなかでふるいにかけられ、比較検討の選択肢から外されるようになります。

2 その結果として、不当な価格競争に巻き込まれることが少なくなる
価格以外の付加価値を認知してもらうことで、安売りをする必要がなくなるのです。

3 売り込みをしなくても売れるようになる
ファンが付けば当然自ずと商品やサービスは売れます。さらに口コミで潜在顧客の獲得も見込めるでしょう。マーケティングの世界で有名なドラッカーは、著書「マネジメント」で「マーケティングの理想は販売を不要にすること」と説いています。ブランディングはまさにそうした効果をもたらすものなのです。

ここで大事なのはマーケティングがブランドをつくるのではないということです。あくまで結果として、無駄なマーケティングをする必要がなくなったり、マーケティングの効率が良くなったりという効果があるのがブランディングの特徴だといえます。

強みを知る、気づく

さて、すでにファンをつかみブランドとなっている企業は、正しいやり方でブランドを運用したり刷新することでブランドイメージを保ち続けることができますが、新たにブランドをつくるとなると、どこから手をつけていいものやら、と考えてしまうかもしれません。そこで、ブランドをつくる過程では「今あるもの」に注目します。実はブランド化できていない企業の多くは、実は良いものを持っているのに、それを活かせていないか、良さ伝え方や提供の仕方に問題があるにすぎない場合が多いのではと私は考えています。

ではどうしたら強みや良さ伝えることができるのか。それにはまず、自分たちの「強み」を客観的に知ることです。
それと同時に「弱み」と、世の中や市場の動向なども把握します。前回も少し触れましたが、マーケティングにはSWOT分析という手法があります。これは事業計画を立てるために考え出されたものです。分析、というと難しそうですが、やり方はとても簡単です。次回はとりあえず、SWOT分析の具体的なやり方について書いてみたいと思います。

それでは今日はここまでとさせていただきます。株式会社イルミナスの常見でした。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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