トーンアンドマナーをつくってみよう

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今回はブランドのトーンアンドマナーについて書いてみたいと思います。トーンアンドマナーとは、その会社らしさを表現するビジュアルイメージや色使い、書体やデザイン全体の雰囲気など視覚的、感覚的な表現の方向性やルールのことです。広告業界ではよくトンマナなどと略して使われたりもします。ブランディングを導入している企業であれば、程度の違いはあれトーンアンドマナーについてのルールを決めています。

トーンアンドマナーを決める2つのメリット

ブランディングにおいては、トーンアンドマナーを決めることのメリットを2つあげてみましょう。

一つはブランドを視覚的、感覚的な表現に一つの方向性をつくることで、ユーザーのブランド連想を促し、ユーザーのブランド認知を助ける効果です。一目でそのブランドだとわかる表現をすることによって、ブランドがお客様の目に止まりやすくなったり、覚えてもらいやすくなるという効果があります。そのため、そのブランドならではの特徴的なトーンアンドマナーを作ることが重要になります。

もう一つは、商品開発や各種媒体のデザイン作業の合理化です。商品のパッケージデザインやウェブ、広告、各種媒体のデザインをする際に、トーンアンドマナーを決めておけば、デザインのブレを少なくすることができます。特に外部のデザイナーにデザインを依頼する場合など、トーンアンドマナーがしっかりできていれば、そのブランドらしい、発注側の意図に沿ったものができる可能性が高まり、工数の短縮にもつながります。

トーンアンドマナーをつくる手順

トーンアンドマナーの作り方はいろいろなやり方がありますが、ここでは一つの方法を紹介します。まず、そのブランドを端的に表現する言葉を決めます。プランドパーソナリティの言葉を使ってもいいでしょう(ブランドパーソナリティについてはこちらをご参考ください)。トーンアンドマナーは、最終的にビジュアルや商品のデザインに反映することになりますので、そのブランドらしさが感じられかつデザインで表現しやすい言葉を考えます。例えば、安心、安全のような抽象的で特徴に欠ける言葉は、ブランドや商品を表現する言葉としては良いですが、特徴的な視覚表現を考える上ではあまりふさわしくありません。

以前私がいた会社で、ある海外自動車ブランドのトーンアンドマナーの設計に関わる事がありました。その自動車は比較的若い人向けで、デザイン性が高く実用車というよりも趣味の車の要素が強いブランドでした。その自動車のブランドパーソナリティをあらわす言葉は「ワクワク感」「外向的」「都会的」「魅惑的」「生意気な」といった感じです。なんとなく車のイメージやそれが走る風景が浮かんできませんか?ブランドには様々な側面があり、当然この自動車も実用性や安全性はありますが、表現においてはターゲットに対し特にどのイメージを強めればそのブランドを効果的に表現できるかを重視します。

言葉を決めたら、次にイメージコラージュを作ります。ブランドを表す言葉に沿ったイメージをネットや雑誌などから集めまとめます。イメージを探すのコツとしては、例えば商品ブランドであれば、商品が入ったイメージはすでにその商品のイメージが付いていたり、無難な表現となり差別化が難しくなるため避けます。また、一人でやるよりも複数人でやったほうが、イメージの偏りが防げるので良いでしょう。そして、そのブランドをより特徴的に表現するイメージを絞っていきます。この作業は最終的にデザインに関わってきますので、クリエイティブの専門家やデザイナーに頼めるなら任せたほうがよいでしょう。たとえそのブランドらしさを表現しているとは言っても、表現としてふさわしくないものもあるからです。

共通の要素を探す

さらにもうひと段階手を加えるとすれば、集めたイメージに共通する視覚的な要素を探してみます。例えば色使いや構図、登場する形や文字が入っているイメージならばその書体などがトーンアンドマナーを作っている場合があります。もしそうした要素が見つかれば、それはブランドカラーや書体に活かすことができます。製品やパッケージデザインに活かすこともできるかもしれません。こうした作業も、クリエイティブの専門家に任せたほうが良いでしょう。こうして集めたビジュアル要素を資料としてマニュアル化することで、社内や外部のブランド関わる人に共有することができます。デザインや表現に迷ったら常にトーンアンドマナーを参照すれば、そのブランドらしさからブレることを防げます。

本日はここまでとさせていただきます。お読みいただきありがとうございました。

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